評論・エッセイ


  • 100年予測/ジョージ・フリードマン/早川書房 ★★★★

地政学、歴史、経済的観点から、今後100年の世界情勢を予測する。今後問題が起こりそうな地域を五つほど上げているが、その中に現在まさに紛争が起こっているウクライナも含まれている。この本の日本版の発行が2009年であるから、予測は当たったことになる。
地図を見れば、明らかなようにロシアにとってみれば、ベラルーシとウクライナは決して手放すことのできない地域ではある。ベラルーシはロシアべったりの親露政権だからいいとして、ウクライナは民主的で西側に近い国である。もしここが西側についたらロシアにしてみれば、のど元にナイフを突きつけられたようなもので、到底看過できないだろう。即ち、今回のロシアによるウクライナ侵攻は
プーチンの気が狂ったわけではなく、ロシアとしては必然的な行動だったわけである。プーチンがやらなくても、いずれ誰かがやったであろう。もっとも今回のような軍事侵攻をやったかは、疑問だが。
この著者によれば、ロシアと中国はいずれ分裂崩壊し、今世紀のアメリカの覇権国家としての地位は揺るぎないものと見ている。そして、ロシア、中国分裂後のユーラシア大陸で勢力を伸ばす国として、トルコと日本を挙げている。
この本の前半は理路整然としていて、なるほどなと思わせるが、後半は近未来SF小説のようになってしまっている。
まあ100年後を予測しようとすれば、そうなってしまうのも致し方ないかもしれない。しかし、全般的には、読み応えのある力作と言えよう。

  • データでわかる2030年地球のすがた/夫馬賢治/日経プレミアシリーズ ★★★★

様々な国際機関が調査、研究した近未来の地球の姿の集大成。これまでもニュースなどで断片的には耳にしたものばかりで、目新しさはないものの、こうして改めて、具体的な数値とともに眺めてみると、結構衝撃的というか、事態は思ってた以上に深刻なんだなという感想を持つ。
明日の株価は誰にもわからないだろうが、10年後20年後の日本の人口は大体予想はつく。日本は巨大なタンカーみたいなものだから、急に進路を変えることはできない。日本の出生率は1.3くらいだが、来年突然2.0になることはないだろう。たとえ奇跡的にそうなったとしても人口は減り続ける。あまり愉快ではない未来像が描かれているが、恐らく大体現実のものとなるであろう。
2019年にはアマゾンで1万平方キロほど熱帯雨林が消失したそうだが、その多くは大豆と牛肉の生産のためだ。彼らに地球環境のために貧乏でいろとは言えないだろ?言ったところで効果はないだろうし。結局、理性は欲望に勝てないということだな。
まあ行くところまで行って、何らかのカタストロフが起こるだろう。
それでも人類が滅亡するとは思わない。人口が半分とか3分の1になるかもしれんが。