洋楽_1


  • Aerial Boundaries/Michael Hedges  ★★★★

今は亡きマイケル・ヘッジスの全編ほぼアコースティックギター一本のインストアルバム。アコースティックギターの可能性を極限まで極めたような、水晶のように透き通った輝きを放つ、珠玉のアルバム。押尾コータローの元祖のような人で、実際彼から影響を受けているだろう。ただ、押尾コータローよりはフュージョン寄りといった感じで、ベースやフルートを加えた曲もある。

ピンク・フロイドのデイヴィッド・ギルモアに見いだされた、天才少女ケイト・ブッシュのデビューアルバム。
全曲自身で作詞作曲し、デビューアルバムにしてすでにその類い稀な才能を遺憾なく発揮している。ハイトーンの甘く妖しさを湛えた声とともに、ちょっと知的なポップソングを聴かせる。

  • U.K./U.K. ★★★★

ジョン・ウェットン(b、v)、ビル・ブラッフォドー(d)、エディ・ジョブソン(k、vl)、アラン・ホールズワース(g)という超絶技巧派によるスーパーグループ。理知的、無機質、緻密に構成された音。
音楽とは永い修練によって熟練したものが奏でるべきものという社会通念に対するアンチテーゼとして発生した、技巧よりも原初的衝動の発露を重視したパンクロック。そのまたアンチテーゼとして生まれた超絶技巧集団のU.K.

メンバー曰く「パンクロックをナイフで突き刺したような音楽」
ビル・ブラッフォドーとアラン・ホールズワースはこのアルバムのみでバンドを去る。クラシック出身で音楽とは緻密に構成されたものであるという発想のエディ・ジョブソンとジャズに多大な影響を受けその瞬間に生み出されるものが音楽であるという発想のアラン・ホールズワースが同じグループで長くやれるわけもない。なんでもエディ・ジョブソンがアラン・ホールズワースに
「毎晩、同じソロを演奏しろ」と言ったらしい。そりゃあ一緒にやれないだろう。

しかし、そうした強烈な個性のぶつかり合いから、至高の音楽が生まれる場合もある。

レインボーの元ヴォーカルスト、グラハム・ボネットが結成したハードロックバンド、アルカトラズのデヴューアルバム。Yngwie Malmsteenの事実上の出世作。ハードロックアルバムとしても良くできているが,聴き所は、なんといってもYngwieの超高速ギターであろう。 世界中のロックファンが余りの速さに度肝を抜かれた。今現在でさえこれほどのスピーデでこれだけ滑らかにギターを弾ける人間はそういないであろう。唯、テクニックは凄いのだが、彼のソロは基本的にマイナースケールを上下させているだけなので、一曲聴けばお腹一杯。

一曲目は少々驚かされるが、二曲目からは水彩の風景画のような、爽快な疾走感が全体を流れるジャズ・インストアルバム。
ギタリストのリーダーアルバムというと、ギターがやたら目立つというのが常だがこのアルバムはそのことを感じさせない。ギターが曲の中に溶け込んで、素晴らしいアンサンブルを聴かせる。

Al Di Meolaのジャズ・フュージョン・インストアルバム。ギター主体でありながら、ギターごり押しではなく、アコースティックギターも織り交ぜ、キーボードなども加わった、聞きやすいアルバムに仕上がっている。ややラテン寄りな趣で、Al Di Meolaの代表作と言ってよいであろう。

  • Autumn/George Winston ★★★★★

ピアノ・ソロのインスト・アルバム。ピアノ曲というと、超絶技巧を駆使したテクニカルなものになりがちだが、この作品はそうした流れに対するアンチテーゼとなっている。あくまでメロディ、楽曲重視で、むしろ超絶技巧を意図的に排しているようにも感じる。ピアノという楽器の持つ素晴らしさを改めて感じさせてくれる。

  • Gaucho/Steely Dan ★★★★

洗練された都会派アダルトコンテンポラリーロック。徹底的に計算され研ぎ澄まされた職人技的な世界を構築しているが、それを感じさせない心地よい音楽を提供している。

ギター、ベース、ドラムスという最小限のユニットながら、個々の力量により空間的に広がりのある音楽を構築することに成功している。ジャズ、エスニックの要素を取り入れつつ、それらを十分に消化しきった独自の音楽を作り上げている。スティングのヴォーカル、スチュアート・コープランドのドラム、アンディ・サマーズのギターが絶妙に絡まりあい、唯一無二の音楽を築き上げている。

  • Flash/Jeff Beck ★★★★

Jeff Beckのソロ名義のアルバムとしては珍しく、インストは2曲のみで、大胆にヴォーカルを導入し、ポップ、ロック色を強めたアルバム。世間的な評価はあまり高くなく、本人もあまり満足していないようだが個人的には気に入っている。
特にGets Us All In The Endでのジャクソン・ソロイストを使ったギターソロは、他のベックのアルバムではあまり聴かれないほどロック色溢れる攻撃的なものとなっている。後年、本人がインタビューであんなアルバム作るんじゃなかった的な発言しているのも、ボーカルを入れすぎたせいかもしれない。

ポップロックの一大傑作アルバムであり、エルトン・ジョンの最も脂の乗り切った時期に制作されたアルバムである。軽快なロックナンバーあり、しっとりとしたバラードありと多彩な楽曲がエルトン・ジョンの弾くピアノに乗せて繰り広げられる。ダイアナ妃の葬儀で一部歌詞を変えて演奏された「Candle in the wind」や「Goodbye yellow brick road」「Bennie and the Jets」といったヒットチューンが納められている。

  • On Time/Grand Funk Railroad ★★★★

アメリカンハードロックを代表するバンド、グランド・ファンク・レイルロードのデヴューアルバム。ギターはアンプ直かファズを踏んずけた音しかなく、ヴォーカル、ベース、ドラムもノンエフェクト。しかし、そのことが却って生々しい迫力を生み出している。

  • In Rock/Deep Purple ★★★★

それまでのアートロック、サイケデリックロックバンドだったのが、ボーカルをイアン・ギランにベーシストをロジャー・グローバーに変更して本格的ハードロックに転向したアルバム。縦横無尽に駆け巡るリッチーのギター、それに対峙するジョン・ロードのオルガン。そして極めつけは、イアン・ギランの絶叫型ハイトーンヴォイス。これはまぎれもないロックの原初的なエネルギーに満ち溢れたアルバムである。最近のクリックに合わせた音楽ではなく、生身の肉体のグルーヴがある。

ヴァン・ヘイレン衝撃のデヴューアルバム。ヴァン・ヘイレンというとエディー・ヴァン・ヘイレンのギターテクニックばかり注目されがちだが、寧ろリフや曲作りの才能の方が際立っている。テクニックの優れたギタリストは沢山いるが、曲作りの才能を併せ持った者は少ない。そのことが、ヴァン・ヘイレンをハードロック界の王者たらしめている所以であろう。このデヴューアルバムでは、まだリフは比較的シンプルであるが、すでに輝きを放っている。
しかし、本アルバムの聴きどころは、やはりEruptionにおけるエディー・ヴァン・ヘイレンのタッピング(ライトハンド奏法)であろう。タッピング自体はエディーの考案したものではなく、それまでも使われていた奏法であるが、それらはあくまで装飾的ギミック的な使われ方であった。それをエディー・ヴァン・ヘイレンは前面に押し出し、ソロの大半をタッピングで弾いて、世界中のギタリストに衝撃を与えたわけである。エディー・ヴァン・ヘイレンをタッピングの第一人者と考えて間違いないであろう。

ゼップのリズムセクションは、どのアルバムも凄いのだが、このpresenceのリズムセクションは鬼気迫るものがある。ロバート・プラントの交通事故というアクシデントに見舞われたことで、逆にバンドとしての一体感が増した感がある。
サウンドはヘビー・メタリックであるが、いわゆるメタルとは違い、ジミー・ペイジのギターは、時にブルージーであり、時にファンキーなカッティングを聞かせ、単調に陥ることを防いでいる。
個人的には、Achilles Last StandのギターソロはStairway to Heavenに匹敵するものだと思っている。

  • CHASE/CHASE ★★★★

普通のロックバンド+トランぺッター4人といった感じの編成。4人のトランぺッターはジャズ畑出身で、ほかのメンバーもジャズには何らかの関りがあったようで、ジャジーでファンキーなロックを聞かせる。
普通のロックバンドでエレキギターが担当する、リフやソロをトランペットが担ってる感じである。その為、ギター中心のバンドとは大きく趣を異にし、クールなブラスロックを聞かせる。

Close to the Edgeと並ぶYesの代表作。透明感のあるイアン・アンダーソンのヴォーカル、ブルースよりクラシックやスパニッシュの影響を強く感じさせるスティーブ・ハウのギター、流麗なテクニックのリック・ウエイクマンのキーボード、ギターのように歌うクリス・スクワイアのベース、卓越したビル・ブラッフォードのドラムが見事なアンサンブルを聴かせる。キース・エマーソンはクラシックとジャズを基盤としていたが、リック・ウエイクマンは、ほぼクラシックのみで、ジャズのテイストはない。

80年代アメリカンハードロックを代表する一枚といえる。一番の聴き所はジェフ・ワトソンとブラッド・ギルスのツインギターであろう。
ジェフ・ワトソンのメカニカル高速ギターとブラッド・ギルスのオーソドックスなギターフレーズとアーミング、ハーモニクスを使ったトリッキーなプレイは一聴に値する。全体的にキャッチーなメロディで聴き易いアルバムとなっている。